病院の求人広告に応募が集まらない原因と具体的な対策3点を紹介
2022.11.21
病院やクリニックの人材確保は、他の業種に比べても難しいといわれています。
高齢化による労働者の減少に加え、医療職は有資格者限定となるため対象者が限られてしまうことが原因です。実際、求人がうまくいっていない、スタッフが不足して困っているといった病院やクリニックも多いのではないでしょうか。
この記事では、病院やクリニックの採用担当者に向けて、
医療従事者の採用に関する現状と、求人広告に応募が集まらない理由、具体的あな対策について説明しています。
求人の現状を知りたい、効果的にスタッフを採用したいと考えている病院やクリニックの方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
医療従事者の採用はなぜ難しいのか
病院の求人広告を出すだけでは、医療従事者を集めるのは厳しい現状があります。
厚生労働省による有効求人倍率によれば、医療従事者の有効求人倍率は常に2倍を超えており、医療従事者の求人市場は求職者優位の売り手市場です。
グラフを見ると、医療専門技術職の需要は供給を上回っている現状が分かります。
2020年の全職種の平均求人倍率は1.18倍となっており、多職種と比較するとなお、医療従事者の求人が非常に難しい状況であるということをご理解いただけるかと思います。
なぜ医療従事者の売り手市場が続いているのか
医療従事者の売り手市場が続く原因には、以下の2点があります。
・女性が多く、夜勤や土日出勤もある仕事のため、結婚や妊娠、子育てによって退職し、潜在医療従事者となっている人が多い
・売り手市場のため、より良い待遇の職場を選んでいる
医療従事者の求人は非常に厳しい状況です。何の工夫もない求人広告を掲載してるだけでは、良い人材は集まりません。
求人広告を出せば医療従事者は集まるという考えは間違いです。この現状を理解して、求人広告の掲載の仕方を考えてみましょう。
病院の求人広告に応募が集まらない理由
求人広告を出しても、なかなか応募が集まらない理由には以下の2点があります。
・1、自院の求人広告の露出が少ない
・2、魅力的な求人広告が書けていない
1、求人広告の露出が少ない
求人広告を出してもそもそも求職者に見てもらえなければ、応募は集まりません。なるべく多くの求人媒体に広告を出してみましょう。
現在のインターネットを活用した求人サイト経由での転職活動を行う人も増えています。もし、ハローワークや求人情報誌のみで求人活動を行っているのならば、求人サイトへも掲載しましょう。
無料で利用できる求人サイトも数多くあり、かんたんな操作のみで掲載が完了します。
2,魅力的な求人広告が書けていない
複数の求人サイト、求人情報誌に掲載をしてもなかなか反応がない場合、自院の魅力が伝わる求人広告が書けていない可能性があります。
求人サイトやハローワークにはたくさんの病院の求人広告が掲載されています。給料や休日日数だけでは、他の病院との差別化が図ることができず、誰からも選んでもらえません。
病院の魅力を伝えることはもちろんですが、他院との違いや応募者が知りたい情報を網羅した求人広告文を書く視点も重要です。
募集が集まる求人広告の掲載のポイント
募集が集まる求人掲載のポイントを紹介します。
複数の媒体に求人広告を掲載する
求人は多くの人に見てもらうほど募集が集まりやすくなる傾向があります。求人媒体は一社に限定せず、複数の媒体で求人広告を掲載してみましょう。
求人媒体には、求人サイトなどのインターネットを活用したものや、求人情報誌やハローワークなどの「アナログ」の求人媒体があります。
インターネットによる求人媒体は、24時間、自宅でも求人情報を検索できるので、多くの人に見てもらうことができる点がメリットです。無料で掲載可能な媒体も多くあります。
しかし、求人広告を閲覧する人必ずしも地域に住んでいる人とは限らない点や、軽い気持ちで申し込みをして、面接をドタキャンされるケースもある点がデメリットとしてあげられます。
ハローワークや求人情報誌は、地域の人材にアプローチできる点は大きなメリットとなります。ハローワークの場合には求職者の身元がはっきりしている点もメリットでしょう。
しかし若い世代での利用が減っている点や、求人情報誌の場合には掲載料が発生する点がデメリットです。
インターネットとアナログ媒体を両方活用することで、それぞれのメリットとデメリットと補い合い、広い世代へのアプローチが可能です。
求人サイトにもそれぞれ特徴がある
インターネットの求人サイトは多数ありますが、それぞれで特徴が異なります。
複数の求人掲載サイトに求人広告を出してみると良いでしょう。
【Indeed】
毎月2億5,000万人の来訪者がある、国内最大級の求人サイトです。初期費用、期間掲載費、採用成功費のいずれも完全無料です。
求人票の文字数制限がないことが大きな特徴で、自社として伝えたいことを余すところなく伝えることができます。
参考記事:Indeedは無料?求人掲載のしくみと応募が増えるポイントを紹介
【求人ボックス】
基本的にはweb上にあるすべての求人情報が自動で掲載されるサイトです。多くの求人情報が集まるサイトのため、閲覧数増加が期待できます。
クローラーによって求人情報が自動的に集められるサイトですが、直接投稿で求人ページを作成することも可能です。
参考記事:求人ボックスはどんなサイト?求人掲載で効果を出すポイントを紹介
【グッピー】
医療系特化型の求人サイトです。サイト訪問者はすべて医療従事者ですので、より求める人材に対してアプローチしやすいサイトです。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
参考記事:グッピーはどんな求人掲載サイト?|応募が殺到するコツ6点
【ジモティー】
ジモティーは地域密着型の情報掲示板です。求人情報も掲載が可能です。地域密着型のサイトですので、自院の近くに住む人材にアプローチできる点がメリットです。
参考記事:ジモティーで求人掲載|良い人材の応募が殺到するポイント4点を紹介
ダイレクトリクルーティングも活用してみる
優秀な人材を採用したいなら、ダイレクトリクルーティングと呼ばれる、新たな採用手法にも挑戦してみましょう。
ダイレクトリクルーティングとは、採用担当者側から求職者に直接アプローチする採用方法です。「逆求人」という呼ばれ方をすることもあります。
SNSを活用して、直接呼び掛けたり、「LinkedIn」や「ビズリーチ」などの専門サービスを使ったりして行います。
求人サイトに登録している会員に対してスカウトメールを送るのも、ダイレクトリクルーティングのひとつです。
応募を待つのではなく、こちらから欲しい人材に対して直接アプローチを行うので、求める人材だけにターゲットを絞り、積極的に優秀な人材の採用活動を行うことができます。
反面、自院の希望に合う人材を、サイトの会員の中から探す手間が発生するため、採用担当者の業務負担が増える点がデメリットです。
比較的新しい採用方法で、新卒者、第二新卒者が多く活用をしています。優秀な若年層の採用を行いたい場合には非常に効果的です。
他の病院と差がつく魅力的な求人広告を作成する
給料や病院の所在地だけを書いている求人広告では、なかなか医療従事者の目には留まりません。
以下の3点に留意して求人広告を書いてみましょう。
・自院の魅力と強みをアピールする
・福利厚生はどんどんアピールする
・求職者が知りたい情報を網羅する
正直なところ、給料面においては他の病院と差がつく部分は少ないケースがほとどんどです。
応募が集まるか、集まらないかは求人広告の内容で大きな差がつきます。
病院の求人広告で採用を成功させるならば、求職者がその病院で働く様子をイメージできるような求人広告の作成が重要なポイントです。
他院と比較して自院だけの魅力や強みの見つける
どの病院にも、その病院独自の強みや魅力はあるのものですが、自分たちではなかなか気づかない部分でもあります。
競合する病院のHPや採用サイトを見ながら自院の違いや差を比べてみましょう。
【例・1】
もし、自院が慢性期型の病院で、近隣に急性期型の多くの医療従事者が集まる大病院があるとします。
強み・特徴「比較的、容体が安定した患者さんが多いので、ゆっくりと働けます。患者さん一人一人に向き合いながら落ち着いた環境での勤務が可能です。」
このような点が自院の強みであり、特徴となり得ます。
【例・2】
自院と同じような規模の病院があるとします。
強み・特徴:「当院では市内でも消化器の検査、手術例が多く、紹介患者数も増えています。すぐに当該部署への勤務が難しい場合もありますが、希望があれば考慮します。」
このような強みも出てきます。
強みは大きなものでなくでも構いません。「ささいなこと」と感じられることでも、求職者にとっては魅力的に感じる部分もたくさんあります。
探せばかならず自院の特徴や強みは出てきますので、探して求人広告に反映させましょう。
また自院のスタッフに自院の魅力についてのアンケートを取るのもよいでしょう。
特に他院からの転職で入職したスタッフには、前職と比較した魅力を聞くこともおすすめです。
入職3年以内の早期退職率が低いなどのデータがあれば、それも非常に大きなPRポイントです。とても働きやすい職場であることをアピールできます。
福利厚生は取得率もあわせてしっかりPRする
育休や育児や介護の時短勤務、有給など、福利厚生はしっかりと記載しましょう。
求職者の多くは、福利厚生面は気になる部分であり、非常に細かくチェックをする傾向があります。
どこの病院にも当たり前に行っていることだからと思わず、小さな点でも記載しておきましょう。
特に夜勤ありの業種の場合には、シフト希望が何日まで出せるのかを記載すると、求職者からの注目を集めやすくなります。
さらに有給や年休、時短勤務の取得率も実績としてあわせて記載することが、他の病院と差がつく求人広告になるポイントです。
説得力が増し、求職者の目にとまりやすくなります。
求職者の知りたい情報を網羅する
実際に働いている様子をイメージできる求人文は、応募が集まる魅力的な求人広告となります。
「看護師業務をお願いします」「理学療法士としての一般的な業務をお願いします」では、その病院で働くイメージが想像できません。
【例】
療養型の慢性期病棟での勤務をお願いいたします。
具体的な業務内容としては、清拭や食事の介助(胃ろうの管理も含む)、おむつ交換や体位交換などがメイン業務となり、検査介助は少なめです。
夜勤帯も含めて、清拭やおむつ交換、体位交換は二人一組で行うことを基本としており、働く人の体の負担を減らす取り組みをしております。
【例】
当院は慢性期の病棟のため、主に高齢者へのリハビリテーションを提供しています。
在宅での介護に向けて、ADLの機能回復、現状の機能維持を目指したケアがメインです。脳卒中や認知障害に関する基礎知識を身に着けている方は、スキルや経験を活かして活躍できる職場です。
どのような患者さんに対して、どのようなケアを行っているのかを詳細に記載しましょう。
またもし採用活動においてデメリットと考えられる条件があるのならば、それを改善する取り組むを行っていることも併せてアピールすると良いでしょう。
医療従事者の求人広告の書き方は、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
参考記事:採用の成功は求人広告の書き方が重要!医療の求人広告の作成ポイント
リファラル採用にも取り組んでみる
求人広告とは異なりますが、病院の採用成功には、知人からの紹介や口コミによるリファラル採用もおすすめです。
リファラル採用とは、現在雇用している従業員の紹介により、新たなスタッフを確保する方法です。医療職は、養成施設や勤務先で多くの同職種とつながるため、リファラル採用がしやすい職種といえます。
リファラル採用を実施する場合は、資格や経験など、自分たちが求めるスタッフの条件を明確にすることが重要です。
安易な紹介により職場に合わないスタッフを採用してしまうと、かえって生産性を低下させることになりかねません。
メリットとしては、
- 採用費用が安い
- 自社の理念に共感する、離職率の低い採用ができる可能性が高い
ことが挙げられます。
まとめ
ここまで、病院の医療広告に人が集まらない原因と、具体的な対策方法を3つ紹介しました。
分からない中でいきなり大きなリスクを取るのではなく、まずはチャレンジしやすい安価な媒体から初めてみるといいでしょう。
例えばIndeedなどの無料求人サイトに掲載し、様子を見ながら広告オプションなどの有料サービスを利用してみてもいいかもしれません。
自社の状況・採用の緊急度や予算に合わせて求人媒体を使い分け、効果的にスタッフを採用できるノウハウを身につけましょう。