介護の適正な採用単価とは?コストを抑えて人材を確保する方法を解説
2022.07.01
介護業界の人手不足問題は、日々大きく伝えられています。従来通りの採用方法では、職員確保が難しい状況です。
採用単価の高い求人サービスだけを利用すると、効果は大きいもののコストがかさみます。一方で採用単価を下げると、思うような効果が得られないことも多いでしょう。
採用単価をおさえつつ一定の効果を期待するには、現状を把握した上で適切に求人サービスを活用する必要があります。
この記事では、適正な採用単価やコストを抑えて人材を確保する方法について詳しく解説します。
この記事の目次
介護業界の採用市況について
ここでは、介護業界の採用市況について2つ紹介します。
- 介護職の有効求人倍率について
- 離職率について
それでは、順に解説していきます。
介護職の有効求人倍率について
2020年の有効求人倍率は、3.82倍です。有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値です。
現在の介護業界は、「売り手市場=求職者に有利」といえるでしょう。従来の求人活動では、自社の募集が埋もれてしまい人が集まりにくい状況です。
介護職の離職率について
2020年の介護職の離職率と採用率は、以下の通りです。
介護職の離職率 14.9% (産業全体14.2%)
介護職の採用率 16.0% (産業全体13.9%)
わずかに採用率が上回るものの、一定の割合で離職する人たちがいます。介護だけでなく、全産業においても人材が定着するのは難しい状況です。
高齢者の人口割合は今後も増加する見込みであり、人手不足は更に深刻化すると予測されます。
採用単価でみる介護求人サービス
ここでは、求人サービスごとの採用単価を2つ紹介します。
- 求人サイト
- 人材紹介会社
以下は、各サービスの採用コスト一覧表です。
求人サービス | 掲載課金型 | 応募課金型 | 完全成功報酬型 | 人材紹介会社 |
採用コスト | 数万〜100万円 | 1〜10万円 | 10〜100万円 | 年収の30〜40% |
それでは、順に解説していきます。
求人サイト
求人サイトは、オンライン上で求人情報を掲載するサイトです。介護・福祉に特化しているものもあります。
求人サイトのメリット
- 求人情報を多くの求職者に見てもらえる
- 登録制の紹介会社よりも手軽なので、求職者がアクセスしやすい
求人サイトのデメリット
- 採用につながらなくても、費用が発生する場合がある
求人サイトには、3つの種類があります。以下に紹介します。
①掲載課金型・・・求人サイトに掲載するとコストが発生します。料金は、サイトに掲載する期間や人数、広告のサイズによって様々です。一度の掲載で、複数の申込みも期待できます。費用の目安は、数万〜100万円前後です。
②応募課金型・・・求人掲載にコストはかかりません。応募申込があった時点で、料金が発生します。面接後、採用につながらなくてもコストが必要です。費用の目安は、1〜10万円前後です。
③完全成功報酬型・・・採用が決まるまでコストはかかりません。採用決定後、料金が発生します。費用の目安は、10〜100万円です。年収に応じて変動する場合があります。
人材紹介会社
人材紹介会社とは、厚生労働大臣から許可を受けた有料の職業紹介所です。「人材を採用したい施設」と「仕事を探している人」を仲介します。
人材紹介会社のメリット
- 採用が決まるまでコストが発生しない
- 希望する職種や経験年数など、ピンポイントで人材をリクエストできる
- 求職者とのやりとり等、紹介会社が行うので手間が掛からない
人材紹介会社のデメリット
- 採用が決まった場合、高コストになる場合もある
- 希望する人材の登録がない場合、紹介に時間がかかることがある
採用コスト
人材紹介会社は、採用が確定した時点でコストが発生します。紹介にかかる費用は、採用する人の年収の30〜40%前後です。
仮に年収350万の人材を採用する場合、必要な費用は約100万円です。
人材紹介会社は施設の情報を求職者に詳しく伝えてくれるので、定着率が高い傾向にあります。一定のコストはかかりますが、パフォーマンスを重視し人材紹介会社が利用されるケースも多いです。
介護職の採用単価が上がる理由について
ここでは、介護職の採用単価が上がる理由について2つ紹介します。
- 高年収の人材を採用している
- 有料求人サービスの利用頻度が高い
それでは、順に解説していきます。
高年収の人材を採用している
有料求人サービスを利用した採用の場合、有資格者や業務経験が豊富な人材を対象にすることが多いです。
有料求人サービスは、採用した人材の年収に応じて報酬を支払うケースがあります。介護福祉士や主任ケアマネなど高年収の人材を採用した場合、紹介会社へ支払う報酬もアップしてしまいます。
有料求人サービスの利用頻度が高い
複数のスタッフが急に退職した場合などは、人材紹介サービスの利用頻度が高くなる傾向にあります。ハローワーク求人などに比べて、有料求人サービスは即効性があるからです。
また、掲載型の求人サービスについても「採用につながる可能性があるから」と利用期間が長くなり、コストがかさんでしまうケースもあります。
以上、当初の予定よりも多く有料のサービスを利用する事で、採用単価が上昇します。
採用単価をおさえるポイントについて
ここでは、採用単価を抑えるポイントについて5つ紹介します。
- 採用単価を計算する
- 採用人数を計画する
- 無料の求人サービスを利用する
- リファラル採用に注力する
- 助成金を活用する
それでは、順番に解説していきます。
採用単価を計算する
まずは現状把握のため、採用単価を計算しましょう。計算方法は、以下の通りです。
◎採用単価=人材獲得にかかったコスト ÷ 獲得した人数
採用人数を計画する
今後一年で採用する人数を計画します。これまでの離職率を考慮して、必要な求人数を見積もりましょう。計画を立てずに有料求人サービスを多く利用すると、採用単価が上昇してしまいます。
あらかじめ年間で採用するべき人数を決定してから、有料求人サービスを利用することをお勧めします。
無料の求人サービスを利用する
無料サービスには、以下のものがあります。
・ハローワーク
・ホームページやSNSの活用
即効性は低いかもしれませんが、無料で取り組めます。特にSNSは、若年層に一定の効果が期待できます。
ホームページ作成に力を入れる施設も多いです。業者に依頼するとコストがかかりますが、充実していると求職者に好感を与えます。
リファラル採用に注力する
リファラル採用は、社員に知人を紹介してもらう制度です。施設の雰囲気や雇用条件をよく理解した職員からの紹介なので、「想像していたのと違った」などイメージの食い違いが少ない傾向にあります。
報酬は一人当たり数万〜数十万円が一般的です。数か月雇用が継続してから支払われるケースが多いようです。
助成金を活用する
雇用に関する助成金を活用することで、採用単価を下げられます。高齢者や母子家庭の母の雇用など、助成金の種類は様々です。
行政やハローワークが、問い合わせの窓口です。
適正な採用単価でコストを抑えて人材を確保しよう
介護業界では人手不足が深刻であり、採用は厳しい状況です。
採用単価をおさえつつ人材を確保するためには、まず現状どれくらいのコストがかかっているかを把握し、採用計画を立てることが必要です。
その上で無料と有料のサービスを組み合わせ、施設の状況に合わせた求人活動を行いましょう。
ハローワーク求人に加えてリファラル採用、SNSの強化などを普段から行い、不測の事態には有料求人サービスを活用するのも有効です。